アピストグラマをもっと知りたい。気付いたら嵌っていたドワーフシクリッドの飼育記録を綴ったブログです。

2017年1月13日金曜日

アピストグラマ飼育術(その4)

A. guttata アピストグラマ飼育方法
§ 目次

アピストグラマ飼育術(その1)
  1. はじめに
  2. 生態
アピストグラマ飼育術(その2)
  1. 飼育環境
アピストグラマ飼育術(その3)
  1. 光の重要性
  2. 観察してますか?
  3. 病気対策
アピストグラマ飼育術(その4)
  1. 状況に応じた対処法
アピストグラマ飼育術(その5)
  1. 状況に応じた対処法(続き)
  2. 業界裏話的な・・・

7. 状況に応じた対処法
  • 濾過バクテリアの状態

    濾材にバクテリアがしっかり定着してるか判断する目安は、pHが勝手に落ちていくかどうかで簡単に確認出来ます。

    pH降下剤、ピート、ソイル等に頼らないとpHが落ちない状況だったらまだ水は出来ていないと判断してください。

    毎日餌を与え、生体が排泄し、バクテリアが分解し、硝酸塩がある程度溜まり始めると自然とpHは落ちていきます。

    一向にpHが落ちない場合は、水槽内やフィルター内にpHを上げる要素が無いか確認してください。

    pHが落ちないからといってR/O水でガンガン換水して、一時的にpHが下がっても濾過バクテリアが育っていなければアンモニアによりpHはまた上がり、いつまで経っても安定した水質にはなりません。

    立ち上げ間もない水槽の場合はじっくり時間を掛けて水を作りましょう。

    意外な盲点として、浮き草や水草は水中の硝酸塩等の成分を吸収するので、立ち上げ間もない水槽でpHが落ちない原因になっていることもあります。

    逆に言えば、濾過が安定している状態でpHをあまり下げずに弱酸性に保ちたい場合は浮き草を繁茂させれば良いです。

    また同時期に同様の設備で複数の水槽をセットしても、バクテリアの調子まで同じにはなりません。

    原因は分かりませんが、他の水槽は調子がすごく良いのに、1本の水槽だけは調子が上がらず必ず生体が☆になっちゃう、なんて事はよくあります。

    時間を掛けて調整することも大事ですが、改善の余地が一向に見られない時は諦めて立ち上げ直した方が早道の時もあります。

    換水の頻度は、換水する目的にもよりますが、毎週何曜日に何リットルとかではなく、各水槽の状況をみて判断した方が良いです。

    既に濾過が完成している水槽だったら定期的に換水をして現状を維持したりしますが、まだ濾過が安定していない場合は、生体の数や種類によって水質や水の濃さが違うはずなので毎日の観察の際に判断しましょう。

     
  • アピストの導入

    アピストを購入する際は、可能であれば実際に店舗に出向き、導入するアピストを自ら選ぶ事をお勧めします。

    同じ種類で同じロットのアピストでも、体色が違ったり、スタイルが違ったり、サイズもバラバラだったりします。

    更にアピストはペア飼いが基本ですので、♂と♀の体格差も重要になります。

    自分の目で見て選んだ方がそのアピストに愛着も湧きますしね(笑)

    私がアピストを選ぶ時のポイントは♀のサイズです。♀の大きさに合わせて♂を選ぶので大概小さなペアを選ぶ事が多いです。

    小さい方が成長の過程も楽しめますからね(^-^;

    既に完成された個体が好みの場合は、当然♂のサイズが大きくなるので♀とのサイズ差には注意してください。

    近くにアピストを販売しているアクアショップが無い場合は残念ながら通販になると思いますが、その場合は信頼出来るお店で、どんな♂と♀が欲しいのかを具体的に伝えるようにしましょう。

    新規導入したアピストを入れる水槽は、濾過が十分安定している水槽にします。

    もしその水槽に既にアピストが入っている場合は、そのアピストを別の水槽に移動させ、新規導入のアピストを入れます。

    また購入したアピストが住んでる川と水槽の水質が近かったら更に良いです。

    購入する際に、ショップに確認したり事前に調べておきましょう。

    水合わせは実施した方が安心です。

    しかし我が家ではアピストを含むシクリッドを導入する際は、ビニール袋を水面に浮かべて水温だけ合わせたらすぐに入れてます(^-^;

    お勧めはしませんが、基本的にアピストは強い魚なので濾過バクテリアさえ十分に働いていれば、現地の水質と極端な違いが無い限り水合わせは省略する事が可能です。

     
  • 親魚の飼育

    アピストはテリトリーを守る習性があるので、水槽内に自分のテリトリーが確保出来て、ストレスが無い環境を与えてあげればその個体が持っているポテンシャルを思う存分発揮します。

    その反面、弱い立場の個体が出てくる事になるので、シェルターなどを設置して隠れ場所を確保してあげてください。

    現地でのアピストは、大型魚などの捕食者の他に、水上の鳥などの捕食者からも身を守らなければなりません。

    そのため水面の動きには過敏に反応する習性があります。

    なので屋根があるシェルターや、浮き草が水面にあると安心出来るようです。

    自分のテリトリーが確保出来ないほど周囲に沢山アピストが居る環境では大人しい性格になります。

    この場合は本来の体色は失せてしまい、毎日餌をねだるだけのペットのようになってしまいます(笑)

    折角アピストを導入したのなら綺麗な姿を見たいですよね?(^O^)

    その個体が持っているポテンシャルを最大限に発揮させるには、テリトリーを確保させつつパワーバランスを保ちながら安心して生活出来る環境を用意する必要があります。

    その結果として、産卵し稚魚が親魚の周りを泳ぐ微笑ましい光景を見れるのです。

     
  • 当て馬によるペアリング

    購入した時に既にペアリングしているアピストなんてほとんど居ないので、まずやるべき事がペアリングです。

    産卵を一つの目標とするならば、安定した環境下でペアリングさえ出来てしまえばほとんどその目的が達成したと言えます。

    しばらくしたら自然と産卵に移行していくはずです。

    ペアリングの方法として最も一般的なのが、ペアの共通の敵となる当て馬を同水槽内に入れて、ペアの結束と絆を強める方法です。

    また弱い個体に向けられていた攻撃を当て馬に向けさせて、弱い個体への攻撃の割合を軽減させる目的もあります。

    当て馬として採用する魚は同じアピストが最適です。

    ♂と♀両者よりも弱い魚を当て馬にする必要があります。何故ならペアのどちらかの立場が当て馬よりも弱い場合には、その弱い方が強い方と当て馬のダブルで攻撃される事になってしまうからです。

    出来ればスリム系アピストにはスリム系の当て馬を、体高系のアピストには体高系の当て馬を当てがった方がしっかり仕事をしてくれます。

    我が家は現在、スリム系にはイニリダエのF、体高系にはsp.ペバスのFを採用しています。

    しかし、私の少ない経験の中で一番良い当て馬の仕事をしたのは実はトーマシーです。

    アピストでもないし、南米の魚でもありませんが(笑)

    自家繁殖させると200匹くらい稚魚を産みますが、成長も早いのです。

    ちょうど3cmくらいのチビトーマシーだと、物怖じせずちょこまかと水槽内を動き回り、スリム系体高系アピストに関わらず良い働きをします。

    ただしトーマシーは成長が早く、5cmくらいに成長すると性格が荒くなります。

    更にもしペアになって繁殖の時期を迎えてしまった時は、アドケタすら逃げるほどに凶暴化してしまうので、大人になってからの扱いに困るのが難点です(^-^;

    当て馬の数は、1匹から始めて強い個体の攻撃の度合いにより徐々に増やしていきます。

    当て馬が多過ぎると攻撃対象が多くペアリングどころでは無くなってしまうので(笑)、弱い個体に攻撃が及ばない程度の数に調整します。

    当て馬の働きにより上手くペアリング出来た場合は、弱い個体への攻撃が無くなったり、強い方が弱い方に攻撃を仕掛けてきても逃げなくなるので分かると思います。

    この場合、当て馬は抜かずにそのままにしておきます。当て馬が居なくなったと同時にパワーバランスが崩れて弱い個体への攻撃が再開する可能性があるからです。

    産卵したとか、ペアの変化に応じて少しずつ当て馬を抜いていっても良いですが、♂の仕事が無くなってしまうので産卵しても当て馬は最低1匹は残します。

    もし♀が凶暴化して♂が逃げ回る展開になってしまったら、♂と当て馬を抜いて♀だけに仔育てを任せれば大丈夫です。

     
  • 複数ペアでペアリング

    当て馬に関連した方法で、複数ペアを一つの水槽に入れて自然にペアリングするのを待つ方法です。

    アピスト自らがお互いを認めてペアになるので、飼育者が強制的にペアリングするよりも絆は強くなるかもしれません。・・・分かりませんが(^-^;

    新規で複数ペアを購入となると出費が嵩むので、既存のFで次世代を狙う時に試してみるのが現実的だと思います。

     
  • 隔離

    強い個体にストレスを与え、弱い個体とのパワーバランスを整えてペアリングさせる方法です。

    必ず強い方の個体を隔離するようにします。弱い個体を隔離してしまうと問題が更に深刻になってしまうので注意してください。

    強い個体が隔離される事により、弱い個体がストレスフリーになり当て馬を蹴散らしたりしてる状況になればまずは成功です。

    隔離する時間は、ペアの状況を確認しながら段階的に進めましょう。

    隔離先や隔離時間の詳細は、

    隔離レベル に具体的に書いてあるので参考にしてください。

    ♀が既に卵が無いのに戦闘モードのまま婚姻色が消えないといった時も、1時間ほど隔離する事により戦闘モードが解除されます(笑)

     
  • 産卵

    種類にもよりますが、水質が安定していればpH値とかに関係なく産卵します。

    ただし健全な稚魚育成を考えるなら、ワイルド・ブリードに関係なく、その種の遺伝子に記憶されている現地の水質に近付けるのが良いと思います。

    南米アマゾンでは雨季と乾季があり、水位の変動は大きなところで20mにも及ぶそうです。

    よく『産卵スイッチ』という言葉を使ったり聞いたりしますが、現地ではこの水位の変動が産卵スイッチになっている可能性が高いです。

    アピストに関して言えば、満月や新月による潮の満ち引きは産卵スイッチに影響を与えません。

    雨季を迎えて川の水位が増すと、彼らの生活範囲が広がります。また増水により水質にも変化が生じます。

    そして、乾季には陸だった場所にあった木の枝や枯れ葉などが水に浸かる事により身を隠す場所が増え、枯れ葉などに付着した微生物が活発化し餌が豊富になります。

    個人的な考えとしては、このような環境の変化により水質が安定し、栄養が蓄えられ、安心して産卵出来る環境が整ったことが産卵スイッチとなり、ホルモンが刺激されて産卵に至るのではないかと思っています。

    なので水槽環境下では、単純に水質の変化ではなく、如何にその種に適合した水質に安定させて、ストレスフリーな環境を提供出来るかが重要だと考えます。

    したがって現地では産卵時期が大体決まっていますが、安定した水槽環境下では季節に関係なく、稚魚が視界から消えれば2~3週間後にはまた産卵行為が繰り返されます。

    ネグロ川のpHは4台と低いですが、繁殖を狙うのであれば5台前半から徐々に低くなっていくような環境が一番適していると思います。

    またTDS(伝導度)の値は極端に高くなければあまり気にする必要はありません。換水のタイミングを計る一つの材料として見れば良いです。

    ネグロ川のTDSはゼロと言われますが、実はそうではありません。

    ミネラルを含む電解質は熱帯雨林の植物により吸収されて低くなるのは事実ですが、それにより値がゼロになるのではなく、枯れ葉などから染み出た腐食有機酸を構成する親水コロイドが電解質を囲い込んでしまい、電導度を計測不能にさせるためにゼロとなるようです。

    時々折角産んだ卵を食卵したり、浮上しても稚魚が徐々に少なくなる事がありますが、これはアピストの責任ではなく、水質が安定せずに仕方なくアピストが処理していると考えましょう(^O^)

    飼育者は、少なくなった稚魚を大事に見守るよりも安心して育仔が出来る環境を提供出来なかったと反省し、目標を次回に移した方が精神的に楽になると思います。

    ただし中にはアピストの責任としか思えない場面に遭遇することもあります。

    ミウアやメンデジィの♂は産卵した直後に卵を食べる習性があるようなので、産卵したらすぐに♂を抜いた方が良いです。

    また初産の場合によくありますが産卵数が30個以下の場合、全ての卵を産み切れていない可能性があります。

    その場合は、稚魚浮上後一週間位で♀が稚魚を追い払い次の産卵準備を始めてしまう事があるので稚魚を潔く諦めるか、稚魚を残らずエアチューブ等で吸い出して別水槽に移しましょう。

    それから浮上したあと徐々に稚魚が少なくなるケースでは、ライトが消灯した後に親魚が稚魚を食べる場合があるので、疑わしい時は消灯後小さなライトを点灯させておくと問題が解消する場合があります。

    それからブリード魚には極稀に繁殖機能の先天的な欠陥がある固体が居るように思います。

     
  • 体形

    アピ友と話していると、体形についての話になる事が多いのですが、その良し悪しが分からない場合もあると思いますので画像で説明したいと思います。

    一番目立つのは頭の形です。

    アピストの体形

    またまた登場のウィルヘルムブリードのマックを画像修正しました(笑)

    上が修正前、下が修正後。

    明らかに上の個体には違和感を感じますよね?(笑)

    マクマス系は大きく成長するとこのような頭の形になる事が多いですが、この個体はまだ5cmほどの若魚です。

    この大きさでこの頭の形は、日本のブリードレベルで考えると商業ルートに絶対乗せてはマズイレベルだと思います(^-^;


    アピストの体形


    こちらはスリム系の場合。

    良いサンプルが無かったので、わざわざ画像修正して悪い体形を作りました(笑)

    所謂サンマ顔と呼ばれるケースです(^-^;

    その他の悪い体形として、餌の与え過ぎによるメタボ体形やラテラルバンドがガタガタに乱れるケースがあります。

    極稀に、正面から見ると正三角形の形をしているブリード魚がいますが、これを我々の間では『sp. オニギリ』と呼んでいます(笑)

    良い体形と悪い体形の判断はとても重要です。

    新しく導入する際の判別に必要ですし、中には増えた稚魚を里子に出したりオークションに出品したりする方もおられるかと思いますが、そんな時はしっかり吟味しましょう!
     
_| ̄|○ ガクッ

今回で完結するつもりでしたがダメだぁ~。先が長過ぎる・・・。

という訳で、次回こそ完結です(๑•̀ㅂ•́)و✧


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4 件のコメント:

  1. 初めまして ナルと言います❗️どうぞよろしくお願いします。 デスモさんのブログは 最初から何度も読ませてもらってます❗️ アピスト飼育は本格的に飼育しだしてから5〜6年の 初心者です(笑 僕はアピストを飼育しだした当初は専門書なども ほとんど無く手探り状態でのスタートでした このような形で アピスト飼育を公開される人は おそらく日本ではデスモ博士ただ1人ではないでしょうか❗️素晴らしいです やはり日頃から アップされているデスモ水族館の アピストのFのレベルの高さに説得力があります❗️ 僕の今の考えはワイルドの綺麗な個体はお金を出せば どなたでも飼育する事が出来ますが F個体に関しては飼育者のレベル 飼育環境 アピストへの愛情をもって育てていけば 必ず期待に応えて親越えの 個体がでてきてくれると思い日々精進しています。 大変だとは思いますが 最後までやりとげて下さい。全力で応援してます❗️ また大変楽しみにしてます。

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  2. こうやって顔の形とかを比較で作ってくれるとかなりわかりやすいです!たしかに違和感がありますねぇぇ・・・なるほどなるほどφ(`д´)メモメモ...
    あ、隔離レベル!早速参考にしたら・・・鬼嫁解除できました!
    ありがとうございました┏Ф〝ペコッ

    返信削除
  3. > ナルさん

    コメントありがとうございます!
    飼育歴が5~6年だったら私と同じですね!
    確かに独学だと限度がありますから、アピストに詳しい人が近くに居ると全然違いますよ。ブログやSNSでは本心を言えませんが直接会ったりすると正直なコメントが貰えるので、お互いの上達に繋がります。
    稚魚の飼育に関しては私もまだまだ修行の身なので精進する必要があります。
    お互い頑張っていきましょう!(^O^)

    返信削除
  4. > moominさん

    良かった良かった、画像を修正してサンマ顔を作った甲斐があります。
    鬼嫁も解除出来たようで良かった良かった(^O^)
    でもこれは人間には通用しないから気を付けてね!(笑)

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