ヴィエジタⅠ/プエルトガイタン F1
今回はアピストの色揚げ方法について考えてみます。
特にマクマス系の赤色の復活と稚魚の色揚げについては最近熱望している事なのです。
色揚げと言っても単純な話、現地と同じ環境をアピストに与えてあげれば自然とワイルドの体色になっていくはずです。
しかしガラスに囲まれた小さな閉塞空間で飼育するアクアリウムでは可能な事とそうでない事があります。
それでは、マクマス系が暮らしているコロンビアのメタ川周辺はどのような環境なのか、自分が考えられる限り羅列していきたいと思います。
- 写真やGoogleMAPで見る限り、ネグロ川のようなブラックウォーターではなく土壌が溶けたような茶色い川。
川の近くは木々が生い茂っているようですが、ネグロ川と違いその周囲は畑などが多い。
ただこれは近年の開発によって環境が変化している可能性がある。 - 川岸の浅瀬で暮らし、川底は白っぽい砂、周囲には落ち葉等が堆積している。
- さんさんと降り注ぐ太陽の強い日差し。
- 熱帯雨林気候で年中高温多湿。
- 雨季と乾季がある。
- 必須ミネラルたっぷりの水が流れている。
- 周囲の植物や水草により自然濾過された清潔な水が流れている。
- 堆積した落葉から染み出すタンニンやフミン酸が流れ込んでくる。
- 甲殻類・ワムシ・ミジンコ・藻類などを餌としている。
- pHは雨季と乾季により変わる(pH5.0~pH7.5?)。
- 植物による養分吸収により導電率は限りなくゼロに近い(?)
- 水槽とは違い、広大な遊泳スペースがある。
ではこの各項目の実現可否を判断していきます。
〇 ・・・ 3.強い日差し、 6.ミネラル、 7.濾過された清潔な水、 9.餌
△ ・・・ 1.茶色い水、 2.白砂と落ち葉、 8.タンニンとフミン酸、 10.pH、 11.導電率
× ・・・ 4.高温多湿、 5.雨季と乾季、 12.広大な遊泳スペース
△の項目は実現可能かもしれませんが、水槽内では病気等予期せぬトラブルに見舞われる可能性があるので実現不可と判断しました。
【可能と思われる項目の実現方法】
- 強い日差し
太陽の元、水槽を屋外に持っていく。今の季節は難しいね(^-^;
最近は太陽光を取り込み光ファイバーで供給出来る照明システムがあるようですが、現実的には太陽光に近い照明を取り入れるのが最善の方法か。
紫外線を適度に照射するメタハラが最適と思われる。 - ミネラル
ミネラルが必要と言っても、アピストにとっての必須ミネラルが正直よく分かりません(>_<)
アクアメーカーが推奨する情報をそのまま信頼していいものか・・・悩むところ。 - 濾過された清潔な水
アクアテラリウムのように陸上で植物を健康に育てて、水中では水草を繁茂させれば自然に近い濾過が出来るかも・・・。
アピスト飼育していく上で考えると成長の早いトニナとかをソイルで育てて濾過バクテリアによる濾過の補助的役割とするのが現実的かな・・・と思います。 - 餌
魚類は体内で作ることが出来る色と出来ない色があります。
今回問題となっているマクマス系の赤色は、体内で作り出すことが出来ない色です。
赤い色素自体は持っていますが、その発色の元となるカロテノイド(赤色)とキサントフィル(黄色)は作り出す事が出来ません。
なので赤の色素の元は餌から摂取するしかありません。
最近は更新されていませんが、アクアメーカーのサイトに記載されている事なので嘘ではないと思います。が、あまり聞いたことが無いメーカーですし、実際の数値が紹介されているわけでもないので何処まで信用してよいのか分かりませんが(^-^;
<PHに対する誤解>
ネグロ川やテフェ湖の水はブラックウォーターと呼ばれ、堆積した落葉から染み出すタンニン酸やフミン酸(腐植有機酸)流れ込んできます。この影響で実際のPH測定値は引き下げられます。
水位が上昇する雨季にはこの影響が薄れて測定値はPH7.5まで上昇するのですが、乾季になるとPH5.0まで下がります。
つまり炭酸塩硬度(KH)が低いからPHが低いのではなく、非常に高濃度の腐植有機酸が流れ込んでくるからPH測定値が引き下げられているのです。
ROやリン酸を使用してPHを下げた水とは根本的に性格が異なり、必須ミネラルがたっぷりと含まれた水なのです。
<電気伝導度の測定に関する誤解>
生息地にはカラシンやグッピーを含め、あらゆる魚種が生息しており、必須ミネラルのひとつでもある電解質は絶対に必要なものだからです。確かにアマゾン河のように熱帯雨林気候に属する地域は、他の熱帯雨林地域と同様に電解質濃度は低めです。これは植物の養分吸収力がすさまじいために発生する現象です。
また土壌に多く含まれている鉄・アルミニウムは、天然のイオン交換樹脂のような働きもしています。
しかしアマゾン河に電解質がまったく含まれていないように思い込むのは大きな間違いで、 リービッヒの最小基本律の原則にてらしてみても、必須ミネラルとして生体に必要な量は充分に含まれています。
おそらくこの部分に関してもブラックウォーターの性質を誤解しているからだと思われます。
ブラックウォーターの成分である腐植有機酸の多くは親水コロイドで構成されています。
水中の親水コロイドは、電解質(疎水コロイド)を囲い込んでしまうため、電導率計の機能を失わせて測定できなくしてしまう性質を持っています。
これは粘膜保護剤(ブルーやグリーンの液体)などを水中に入れると、電導率計が測定不能に陥るのと同じ現象です。
つまり電気伝導率が低い水なのではなく、測れない水なのです。
引用 http://www.flex-web.com/guide/07/01.shtml
ただよく言われるネグロ川のブラックウォーターの導電率がゼロというのは絶対ウソだと思っていた自分にとって良い情報でした(笑)
一週間前に撮影したプエルトガイタンのF1。去年ワイルドを手にした時はこのくらいのサイズで♀まで尾びれに真っ赤なツインバーが入っていたなぁ~( ̄▽ ̄;)
それではようやく今回自分が試した色揚げの方法です。
あくまでも実験なので、何が効果があったかを判断出来なければ意味がありません。
実現可能な項目(強い日差し、ミネラル、濾過された清潔な水、餌)について、段階的に取り入れて検証していくことにします。
ただし、赤色の色素の元となる餌はどの段階においても必要な物なので、餌+○○という複合的要素の組み合わせで検証していきます。
まず試したのは、色揚げ用飼料+照明です。
色揚げ用飼料は、カロテノイドの一種アスタキサンチンとスピルリナをブラインと共に与えるようにしました。
アスタキサンチンと言えば、ブラインシュリンプも甲殻類の一種なのでアスタキサンチンを含んでいます。
では何故ブラインだけではマクマス系の赤が出てこないのか、求めている物質が違うのでしょうか。
コイ科の魚はスピルリナに含まれるゼアキサンチンという物質をアスタキサンチンに体内で代謝させて色素胞に蓄えているようです。
という事もあり、コイとは違いますが今回はスピルリナも一緒に与えています。
照明については、全ての水槽の照明をLED化したところなので今更メタハラは無いなぁ~と思い、メタハラに似たライトに変更しました。
先日、ある大学で魚類の色素細胞について研究をされている教授(デモス大じゃないよ。笑)とお話する機会がありました。
もちろんアピストの色揚げについて聞いたのですが、一番効果的なのは周囲の色と太陽光だと仰っていました。
ただこの大学の研究で利用している魚がメダカとの事なので、アピストにも同様の効果が得られるのかは分からないとの事でした。
実際にメダカや金魚は屋外で飼うと発色がよくなるみたいですね!
そして実験を開始してから一週間が経ちました。
尾びれを見てください!
少し出てきましたよ、赤が!(๑•̀ㅂ•́)و✧
全ての稚魚ではなく今のところ半数くらいに変化がありました。
ただし同居している親は変化無しです。
しかし一週間でこれだけ色が揚がってきたのなら、このまま続ければ全個体にもっと鮮烈な赤が出てくるのでは?と期待してしまいます(笑)
実は今までもブラインだけではなく、ディスカスフードとか色揚げに効果があるとされる餌は与えてきました。
その事を考えると、やはり光の問題なのでは?と考えてしまいます。
それと先日まで実施していた硝酸塩除去実験が今頃功を奏したのか・・・。
まぁ期待通りに進まないのがアクアだと思っているので、全ての個体がワイルドのように発色するとは思わないようにしてますが(^-^;
取りあえず、考えてたよりも早く結果が出始めたので嬉しくなって書いてしまいました(^○^)
ここまで読んでくれた方は忘れずに・・・
ポチッとしてください。正体を晒します!↓
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